
「AIが仕事を奪うのでは?」といった極端な見方もありますが、実際に現場で体感しているのは、「AI×人の創造力」が噛み合ったときの制作スピードと柔軟性の向上です。
私自身も、ここ1年ほど積極的にAIを導入・検証しており、実務レベルでどこまで活かせるかを常に探っています。
今回は、制作事例を交えながら、AIと人の関係性の変化、そしてこれからのデザイナー像について少し考えてみたいと思います。
以前、クライアントから提供された車の写真をもとにキービジュアルを制作する案件がありました。

しかし、画像生成AIの精度が向上したことで、参照画像に合わせた背景の生成が可能になりました。
特にパースやライティングの一貫性が出しやすく、ストック探しに費やしていた時間を大幅にカットできるように。
※今回はAdobe Fireflyを使用しています。

とはいえ、AIが生成した背景に写っている車は、元の写真と似てはいるものの、
細部のディテールが完全には再現されていないため、そのまま使うわけにはいきません。
最終的にはPhotoshopで実写の車を合成し、色味や光の方向などを微調整する必要があります。
ただ、その調整も以前に比べれば最小限で済むようになりました。

AIがベースを整え、人が“らしさ”や説得力を付加する。
今のところ、この6〜8割AI+残りを人が仕上げる体制が最も効率的で、品質とのバランスも取れているように感じます。
もう一つの例として、特殊なシチュエーションでの撮影案件があります。
たとえば「水中で商品が宙に浮かんでいる」といった撮影では、カメラアングルやライティングのイメージを言葉だけで伝えるのが難しいこともあります。

そんなとき、画像生成AIを使って撮影ラフのビジュアルをつくることで、イメージ共有がとてもスムーズになります。
スタッフ間の認識を早い段階でそろえることで、撮影準備や実施そのものの精度も上がります。
AIの進化により、ビジュアル制作はより柔軟でスピーディになってきました。しかし、AIにすべてを任せることが正解ではありません。
むしろ、AIの得意な部分(スピード、論理的処理、大量生成)と、
人の得意な部分(感性、空気感、ブランド理解)をうまく掛け合わせていくことが、これからの制作には欠かせないと感じます。
「AIに使われる」ではなく、「AIを活かす」──
そんなスタンスで、これからのデザイナーの在り方も、より柔軟に変化していくのではないでしょうか。
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